2014年1月2日木曜日

うるしの器:仁城義勝のうつわ



いつかは欲しいと思っていたアイテムのひとつがうるしの器だった。
あるときそんなうるし熱が高まって、毎日馬鹿のようにうるし、うるし、うるし、と思っていた時期があったのだが、我が家の近所に漆器を売っているようなこじゃれた店があるわけもなく、二時間ほど遠征した大都会には、全国でも珍しいうるしの専門店があることは調べがついていたので、ある日とうとう意を決してお金を握って遠出した。

うるしの専門店だけあって品揃えは充実していて、見ているうちに自分が何が欲しかったのか分からなくなるのもよくある話。マイ・ファーストうるしなので、毎日使う飯椀か汁椀?と思って探したのだが、「大皿もよろしげ」とか「盆もいいなあ」とかさんざん目移りしたあげく、値引きされて買い得になっていた椀を二つ購入した。我が家は二人家族なので、揃いで買えるといい感じだね。普通値引きされるようなものじゃないと思うんだけど、傷があるとかそういうのでもないので、廃盤、とかそういう感じなんだろうか。

これは仁城義勝(にんじょう・よしかつ)さんという方のもので、うるしの器というよりも、木の器の延長といったおもむき。いや、うるしはもちろん本物なんだけど、木地が見えないように幾重にも塗り重ねた漆器というより、木地を丈夫に、染みないようにするためにうるしを塗ったという感じ。最初から高級品を買うのもいいのかもしれないが、最初はこれくらいカジュアルなものからチャレンジするのもいいわな(値段も手頃になってるし)、とこの二つに決定。したのだが、これがこの冬の大ヒット。汁椀というよりもナベの取り皿として大活躍した。うるしの器というのをはじめて使ってみたけど、うーん、いいものだなあ。うるしがよいよいといわれるのがよくわかる。まず、使い始めていちばんに思ったのが軽いこと。ふたつめが、熱いものをいれてもうつわが熱くならないこと。三つめが、とりあつかいが簡単なこと。土もののうつわなんかよりも、よっぽど汚れも落ちやすいような気がする。本物のうるしというのは洗剤を使ってもかまわないわけだが、このうつわは洗剤をつかわなくても汚れがするんと落ちてしまう。濡らしておくのはよくないにせよ、湿気が厳禁ではないので(湿気が厳禁な漆器というのは、木地の乾燥が十分でないとか、塗りがよろしくないとか、二流品のあかしである)、ふきんで軽くぬぐえばそれでおしまい。

いやあ、うるしというのはいいものだなあとしみじみ感動。このうつわはじつは大きさも絶妙で、ちょっと大ぶりの取り皿という感じで、飯椀には若干大きいが、汁ものはこれでいけるし、雑煮なんかもよさそうだ。

このうつわをきっかけにうるしを集めたくなったというんじゃないが(うちにはもう生活に過不足ないうつわがそろっている)うるしというのは家庭にひと組あってもよいものだなと思う。