なぜかいま林弘子さんにハマっている。いや、ハマっているというか、ブログ読んでるだけなんだけど。本を買えばいいんだろうが、ちょうどぼくの読みたい本が絶版で手に入らないので、どうしようか迷っているところ(アマゾンで古本なら売っている)。図書館に行けば読めるんだろうが、ちょうどいま図書館に行けないんだよなあ。林弘子(はやし・ひろこ)さんは料理人なんだけど、「あぶれもののすきま産業料理を実践する肉体派料理人。」を自称する人。製パン・製菓業に従事していた人で、パン・お菓子もだけど、発酵ものにめっぽう強くて、味噌なんてもちろんのこと、ほぼあらゆる調味料を自分で仕込み、はてはみりんどぶろくまで、米麹を作るところから自分でやってしまうすごい人だ。いまちまたで流行(?)の地粉・天然酵母の先駆けでもある人で、当時から天然酵母のパンだなんてオシャレじゃあありませんか。ただ、知名度が高くないのは、行き着くところまで行き着いたすごい人である分、マニアックというか、とりつきにくいというか、「ブログで簡単お手軽レシピ」みたいなのとは対極にいる人なので、一般受けはしなかったんだろうなあと思う。著作も写真いっぱい、オシャレみたいな感じではなく、文字だけの(!)レシピ本だったりするので、印象は地味なんだけど、いぶし銀の魅力というか、コアなファンは多いだろうなあと思う。レシピはシンプルなんだけど、たとえば自分でがっつりじっくり美味しい調味料を作ったら、あとの料理はちゃちゃっとお手軽でいいですよ、というコンセプト。だから、カレーペーストとか、玉葱を炒めるのに4時間かけるかわりに、普段の料理はあわせるだけ10分とかそんな感じ。働いている人こそそれをやれとかいうつもりはないけれど(そんなこと義務だったら休日まで労働になてしまう)一本筋のとおったスマートな考え方であるのは間違いないよなあと思う。金がなくても美味い物を食べたかったら素材にはお金をかけてあとは自分の手を動かすということ。
ぼくが林弘子さんを知ったのは、発酵ものについて調べていたときで、「秘伝・自然発酵種のパンづくり」という本に興味を持ったからだった。自然発酵種というのは、小麦と水から酵母を起こすやり方なんだけど、この本2002年初版なんだけど絶版なんだよね。復刊求ム晶文社。どこかで手に入らないかなあと調べていたときに、ふと林弘子さん本人のブログに行き当たったんだけど、ふとブログを読んでびっくりした。2010年になくなられているじゃないか! そんなに年の方じゃないと思ってたんだけど、50ちょっとで亡くなられてるから若いよなあ。2010年7月25日に亡くなられているんだけど、7月に入ってもつづられているブログが生々しくて、読んでいるとつらい気持ちになる。あるじの亡くなったブログというのはこういう感じなんだなあ。直前まで入院されている様子はないから、頭痛とか視野狭窄とかそういう症状から邪推すると、くも膜下出血とか、そういう感じだったんだろうか。この人はもう亡くなっているんだよなあと思いながらブログを読むのは切ない気持ちがするけども、どうも気になるというか、暇さえあればセッセと記事をたどって読んでいる。もしかして暇なんだろうか、オレ。あれこれ能書きは抜きにして、人柄のしのばれるおもしろい読み物であることは変わりないです、これ。とかあれこれ言ってたらやっぱり読みたくなってきた、絶版本。新刊なら印税が(娘さんに)入るからいいけど、古本じゃなあとか思ってたけど、古本でも手に入れようかな。
著作あれこれ・順不同
ぼくが読みたいと思っている絶版本
「秘伝 自然発酵種のパンづくり」
「秘伝 発酵食づくり」
「小さな酵母パン教室へようこそ」
手に入る新刊本
「スローな手づくり調味料」
「水と小麦だけのパン種でつくる酵母パン」
「酵母でつくる焼き菓子レシピ」
「国産小麦のお菓子とパン」
「穀物をもっと楽しもう」
「野菜たっぷり旬のお菓子」
「果物たっぷり旬のお菓子」
「梅づくし」
「和・発酵食づくり」