2014年3月26日水曜日

内藤商店のシュロのほうき


内藤商店は京都市中京区三条通鴨川の橋のたもとにあるシュロのお店。
ほうきとかたわしとかいろいろ置いてあるちまたでは有名な店。その内藤商店で棕櫚の箒を見に行った。長ほうき7000円。長い間あこがれだったけど、念願かなってとうとう手に入れる(2013年年末)。しかし2、3年で使い潰す電気掃除機は7000円で高いと思わないのに、一生使える長ほうきの7000円は高いと思うのはどうしてなんだろうなあ。


変な前置きになりましたがシュロのほうき、良いですよ。
良い良いとまわりから聞いていたし、あこがれでもあったから、ようやく手に入れたけど、もっと早く手に入れればよかったね。これで掃除機とは決別してほうきと生きていこうと思う。

シュロのほうきというと、小学校の掃除で毛先がヘナヘナに弱った粗悪品を使わされていたせいで、すごくイメージが悪かったけど、やっぱり本物は違うなあと感動した。シュロのこしがぜんぜん違うのであって、ごみの集まりもよく、非常に掃きやすい。昔のあれは何だったんだと思うほどモノが違う。などと考えると、現代というのはものすごくまがいものにあふれた時代だなあと思う。食べ物なんてたいていがまがいものだし、ぼくは安いものがだめだとも思わないし、粗悪品がだめだとも思わない。それがなければぼくたちの生活は成り立たないわけで、安いものには安いものの立派な存在価値があると思うが、それが本物の名前を騙ったまがい物であることが、ぼくは好きではないだけだ。

内藤商店のシュロのほうきは、ひとつひとつ日本の職人さんが作った質のよいものだが(内藤商店で作っているわけでなく、和歌山かどこかの職人さんが作ったものを卸していると聞いたことがある)、シュロそのものは日本のものではない。中国の輸入品だ。質が良い材料を輸入して、日本で組み立てているわけだ。和歌山の海南とか南の方がもともとはシュロの産地ではあり、昔はシュロの皮を山から切り出してきていたわけだが、いまはそんな仕事の採算が取れるはずもなく、シュロの山は荒れ放題。国産シュロを復活させようという動きはあるにはあるが、商業ベースにのるほどではもちろんない、と話に聞く。国産のシュロにこだわるならデッドストックで作るしかないし、作ったとしても本当に細々とした量で、一般に販売されるようなものにはもちろんならない。だから「国産品」をうたったシュロの製品があったらそれはマユツバだと思っていいんですよ。

シュロのほうきの使い方は簡単。というかただ掃くだけだし(ほうきだから)。毛先がいたまないように優しく扱えばよく、ゴミが面白いようにスルスルと集まって来る。お店の方に「絶対に長ほうきがいいですよ」とすすめてもらったので長ほうきにしたが、短ぼうきより長ほうきが絶対におすすめ。圧倒的にラクだ。こういうのって小さな違いのように見えるけど、すごく重要なことだよね。ふだんの保管の仕方も大切で、毛先がつぶれないように、どこかに引っかけてしまっておくのが大切だそうだ。毛先を下につけて置いておくのはNG。大切に使えば十年でももつそうだから、大切に扱わんとあかんよね。



ちなみに内藤商店さんの箒の使い方の注意書きはこんな感じ。

内藤商店 京都市中京区三条大橋西詰め

〈棕櫚箒の使い方〉
◎力を入れず やさしく掃く。
(力を入れると毛が折れてしまいます。)
◎ゴミが集まったら毛先にゴミ(埃や髪の毛)が付きます。
 そのゴミは要らない割り箸や手で取ってください。
(叩いて落とそうとすると、銅線が緩んで壊れます。)
◎フローリングや畳の目に沿って掃いてください。
 角を掃く時は箒の向きを変えて。いつも箒の毛先を全部付けて掃いてください。
(毛先の片方ばかり使うと、そこばかり減ってきます。)
◎風通しのいいところで吊るしておいてください。
以上の事に注意してお使いください。
そうすると、長い間毛先もまっすぐに長い事使えます。

*ビニールのカバーを取って、それを型紙にして木綿の手ぬぐいなどでカバーを
お作りになるのをお奨めします。その際、毛先を5cmほど残してお使いください。