小さいうちはこれ。リングリィリング
少し大きくなったらこれ。ドリオ
日本では「あたまをぶつけて泣くから」と軽いガラガラだけを与えるようだが、ヨーロッパでは逆に、たとえあたまをぶつけても、重いガラガラを持つことで手が鍛えられ、泣いても、「次はあたまをぶつけないようにしよう」と学ぶ場としてとらえるのだという。このあたりは、リスクとハザードに対する、日本と諸外国の態度の違いを示しているようで面白い。
つまり、日本語で言う「危険」には、リスク=それによって一定の危害(たとえばあたまをぶつける)は想定されるものの、それを克服することによって、一層の成長が見込まれるものと、ハザード=想定の範囲を超えた害悪、身体に著しい傷害をもたらすおそれのある危険のふたつの要素が含まれるが、ヨーロッパでは、ハザードを限りなく小さくした上で、リスクはあえて残そうとするのに対し、ハザードを恐れるあまり、ハザードもリスクも無くしてしまう、日本やアメリカのような消費市場主義文化の違いが、そこに示されているように思う。
ハザードもリスクもなければ安全かもしれないが、リスクを乗り越えることによる成長もないわけで、いったいどっちが正しいのかと問われると、いまもって答えは出ない。でもぼくはどちらかというと、一定の害をこうむるかもしれないことをふまえた上で、リスクを取り入れる方が好きだけど。いまの日本はハザード(訴訟やクレーム)を恐れるあまり、正しい安全志向(ハザードを限りなく小さくする)ではなく、ただリスクもハザードも除いてしまう、単なる事なかれ主義な気がするよね。